群馬県理学療法士協会における多職種連携への取り組み
日頃より群馬県医師会をはじめとする関係諸団体の皆様から、群馬県理学療法士協会へ多くのご支援、ご協力を頂いておりますことに深く感謝申し上げます。
今後も群馬県多職種連携推進協議会の一員として、県民の健康に寄与できるよう努めて参ります。
よろしくお願い申し上げます。
—本会の概要—
理学療法とは、「病気、けが、高齢、障害などによって運動機能が低下した状態にある人々に対し、運動機能の維持・改善を目的に運動、温熱、電気、水、光線などの物理的手段を用いて行われる治療法」です。
理学療法士は、昭和40年に施行された「理学療法士及び作業療法士法」によって生まれた職種であります。
昭和41年に日本理学療法士協会、昭和42年に最初の県組織(兵庫県)が設立され、昭和55年に本会は設立されました。
現在の本会の会員数は2,106名であり、会員の勤務先の約70%が病院や診療所などの医療機関となっております。
—地域包括ケアシステムへの取り組み—
平成26年に「医療介護総合確保推進法」が制定される前の段階で、厚生労働省は地域包括ケアシステムの実現のための充実・強化のポイントとして、「医療・介護連携」、「認知症施策」、「地域ケア会議」、「生活支援」、「介護予防」の5項目を挙げました。また、これを市町村で推進するとしました。
このことを受けて、多職種連携の中で理学療法士の専門性から地域の住民の方々に貢献できるものは、地域ケア会議、介護予防であるとして、全国的に人材育成システムを構築しました。この育成システムでは、地域ケア会議や介護予防の知識・技術だけでなく、多職種連携も重要視しております。
本会では、この育成システムによる地域ケア会議推進リーダーを680名、介護予防推進リーダーを597名の会員が取得済となっております。
市町村で展開される通所、訪問、地域ケア会議、住民通いの場等には、リハビリテーション専門職の関与が求められており(地域リハビリテーション活動支援事業等)、これらの活動は両推進リーダーが担っております。
現在までに会員の35%が、どちらかの推進リーダーを取得するまでの準備を進めて参りましたが、アフターコロナの状況を予想しますと、推進リーダーの増員とともに質的な強化や多職種連携のさらなる推進が重要であると考えております。
群馬県PT・OT・ST連絡協議会で委託を受けております群馬県地域リハビリテーション支援センターでは、介護予防、フレイル予防などの多職種連携により作成された情報を発信しております。
会長 山路雄彦(やまじたけひこ)
群馬県理学療法士協会の多職種連携
地域包括ケアシステムへの取り組みについて
当会としても地域包括ケアシステムは重要課題ととらえ、少しでも貢献出来るよう取り組みを行っております。
中でも介護予防と地域ケア会議に関しては、これまで推進リーダーを育成し、「地域の高齢者が、自立した望ましい生活が過ごせるよう」取り組んでまいりました。
今後の課題として、市町村が行う地域支援事業(特に訪問C/通所Cといった事業)にどのように繋げていくかで、多職種で関わることに加え、行政とも連携をとっていく事の大切さを認識しております。
今後とも、多くの方のお力をお借りし、高齢者の自立した望ましい生活を実現させるべく奮闘していきたいと考えております。
また、最近の話題とすると、リハビリ単独ではなく、口腔・栄養・リハビリの一体的実施の重要性が言われております。
リハビリの成功のカギは運動が大事ですが、運動だけでは上手くいかないケースをよく見かけます。高齢者の場合、食事が摂れず低栄養状態でリハビリを行っても、かえって体重が減少し元気がなくなり一層動けなくなってしまうというケースがあります。
そういった方に適切な栄養を取ってもらう事でリハビリの効果が上がる方が多いです。
また、食事がとれない原因として、口腔に問題を抱えている方も少なくありません。
口腔・栄養・リハビリを一体的に行い包括的に関わっていく事が重要なポイントとなっており、医療・介護においてその重要性が示唆されております。
今後の大きな課題として、地域包括ケアシステムから地域共生社会になる必要性が言われ始めております。
当会としても、高齢者のみならず、地域の子供・障がい者など多くの方に関われるよう皆さんと連携を取り、新たな地域づくりに挑戦していきたいと考えております。
最後に、当会の新たな取り組みをご紹介します。
今後、少子高齢化が進むことで生産年齢人口が激減し労働力が不足すると言われており、高齢者の就労を何とかしないといけないと国も考えています。
高齢者の就労の問題として多いのが、転倒と腰痛です。どちらも理学療法士の得意分野です。
昨年度より、「高年齢者の就労支援事業」を始め、幾つになっても元気で働ける社会作りに少しでも貢献したいと考えております。
「誰もが活き活きと住み慣れた地域で自立した望む生活」を実現させるべく、多くの方・団体と連携を取っていく事が重要であると認識しております。
是非ともご指導・ご協力をお願い申し上げます。
社会局担当理事 新谷和文