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群馬県地域包括在宅介護支援センター協議会

地域包括ケアの中核機関として

地域で高齢者を支援するため、平成18年4月に地域包括支援センターが設置されました。
地域の高齢者の総合相談、権利擁護や地域の支援体制づくり、介護予防の必要な援助などを行い、高齢者の保健医療の向上及び福祉の増進を包括的に支援することを目的とし、地域包括ケア実現に向けた中核的な機関として市町村が設置し、県内には111センター(3支所等)が設置されています。
当協議会は、平成21年9月3日に設立し、群馬県内111センターのうち会員は71施設、加入率は64%です。会員施設の多くは社会福祉法人や医療法人、少ないのは直営(行政)となっています。

主な活動は人材育成で県からの委託を受け、介護支援専門員には義務付けされている法定研修と同等の地域包括職員研修(初任者・現任者・指導者)を例年実施しています。
残念なのは、包括職員研修は任意のため、包括職員全員が受講しているわけではありません。このような研修事業に加えて、研究大会を年1回開催しています。
コロナ禍でここ数年対面開催ができませんでしたが、コロナ5類になり対面開催が可能となったことと、第10回として節目になる時期が重なったことから、今年度は平成18年当時の厚生労働省老健局振興課古都賢一課長(現全国社会福祉協議会副会長)をお招きし、「期待された役割を担うことはできているのか」と題して、記念講演会を行いました。地域包括支援センターは、地域包括ケアの中核的な機関として2025年を目途に歩んできた17年です。

役割は担えていたのか、2025年までの2年4カ月余で地域包括ケアシステムを構築できるか、現場では未だ見えてこないように感じています。
地域包括ケアとは各市町村それぞれの特徴や機能を活かし、全国一律ではなく「わが町の地域包括ケア」のビジョンを示し、事業計画を進めていくと示されています。
市町村独自の仕組みとしてプラスもありますがマイナスもあると思います。
その一つが「市町村格差」です。市町村それぞれ取り組み方の違いが出てきているのではないでしょうか。
生活に必要な仕組みを考え、形にしていくことはさらに違いが出てくると考えられます。

このような地域差がある中で地域包括支援センターは隣の市町村の取り組みなどの情報も少なく、ボトムアップしたくても情報が足りない状況のため、県内の地域包括支援センター、在宅介護支援センターを繋ぐネットワークの役割も協議会として担っています。
市町村が示す、わが町の地域包括ケアのビジョンやそのシステムを創るには、市町村職員の育成が重要だと思います。
地域包括ケアシステムが市町村独自で発展している地域には、アイデアや実践力を持った市町村職員や理解者がいると聞いております。
地域包括ケアをめぐる課題解決には市町村が「自分ごと」としてビジョンを示し取り組むことで可視化できます。
当協議会はこれからも、実践力をもって地域づくりを進めるために、市町村と共に取り組む職員の育成に尽力いたします。

群馬県地域包括在宅介護支援センター協議会
総務研修・企画委員長 山田圭子


地域包括ケアシステムにおける地域包括支援センターの役割と今後の課題

コロナ禍、終息に見込みもつかない現状に日々奔走される医療従事者のみなさまに敬意と感謝を申し上げます。

さて、群馬県地域包括支援センター協議会は2009年に発足しました。
地域包括支援センターは2005年まで在宅介護支援センターとして事業を展開し、2006年の介護保険法「新たなサービス体系の確立」として在宅介護支援センター機能も引き継ぎ、市町村が責任主体として介護保険法に位置づけられています。
当初、群馬県においては市町村直営を基本として全市町村がスタートを切りました。現在は県内に114センター(111センターと3支所)が動いています。

【地域包括支援センターとは】
地域包括支援センターは人口3万人(2中学校区)に対して1か所設置が基本ですが、現在では高齢者人口などを勘案し設置するなど各市町村で設置基準が異なります。業務としては、総合相談を柱として高齢者虐待の通報窓口としての機能や、介護予防ケアマネジメント、ケアマネジャーに対する後方支援などを中心にさまざまな事業を展開しております。

【群馬県地域包括支援センター協議会として】
地域包括支援センター職員に就くための法定的な研修はなく、専門職と言われながらも基礎職種の専門性に頼るため、地域包括支援センターの運営や事業を展開していくノウハウ、地域づくりなどの人材育成としての職員研修(県委託事業)と知識を広める自主事業に加え、研究大会を年1回実施しています。今年度は「ヤングケアラー問題」をテーマに研究大会を開催し、介護者である若者から単に介護の肩代わりするのではなく、介護する若者への直接的支援、介護する若者との対話の重要性を学びました。

【現状の問題点】
高齢者の相談窓口としての機能が中心ですが、ひとり暮らし、老々2人暮らしなどの世帯に加え、認認2人暮らし(認知症状がある夫婦など)、8050問題と言われる80歳の親と50歳の子どもとの暮らし、また障害をもった子どもを介護している親、子供が親の介護、子供が祖母や祖父の介護など、相談内容は多岐にわたっています。縦割り行政という言葉はよく耳にしますが地域包括支援センターも同様で65歳以上の高齢者が主たる対象者のため、若い方のご相談を受けても、お話を聞くだけで支援の対象者にはならず、他機関を紹介するのみとなります。

【地域包括ケアシステムへの提言】
2025年を目途としてスタートし、残すところあと3年、さまざまな問題・課題を抱えたまま2025年を迎え、さらにその次の2040年(団塊ジュニアが75歳)問題を迎えることになります。現状の評価と向かうべき到達点を明確にするには現場から声を上げること、多職種連携の力が必須となります。多職種連携は瞬間ではなく、継続です。

群馬県地域包括在宅介護支援センター協議会
総務研修・企画委員長 山田圭子
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