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群馬県老人保健施設協会

群馬県老人保健施設協会における多職種連携

COVID19が五類に区分されたものの集団感染は治まっていませんが、皆様におかれましてはますますご清祥のこととお慶び申し上げます。

さて、超高齢社会になるにつれ要介護や運転困難となり、通院が厳しくなることがあります。
また入院の場合も、自立して暮らす方が急性発症や持病の悪化をきたすパターンから、要介護高齢者の状態悪化による入院が多くなっています。
さらに、退院後は今まで通りの生活ができず、急性期入院→回復期病院→慢性期病院→介護施設での入所という、在宅生活が困難になってしまうパターンが増えています。
特に後期高齢者では、入院→施設入所→在宅復帰→入院の繰り返しをすることも見受けられます。

また医療面において、老年症候群にみられるフレイル・排泄力低下・誤嚥・認知力低下による生活の質を低下させることを防ぐため「総合的に」診ていくことが求められています。
「その人らしい日常生活・社会参加」を維持したり、取り戻すためには「悪化を防ぐための取り組み」をいかに図るかが問われます。
しかしながら医療面の悪化、介護力の低下、福祉サービス提供不足などに対して、それぞれの視点や方向性がバラバラでは有効なサービスに結びつきません。
本人の意向、自律性を踏まえ、ご家族や関係各位が適切な支援を行えるための包括的な仕組みが必要です。

老健では入所中に在宅復帰生活を見据えたリハビリの実施のみならず、退所する際に在宅復帰後で発生しやすいリスク(入所中みられた誤嚥、転倒など)に対して、在宅サービス事業者と情報共有を図っています。
その人が在宅で安心して暮らせるために必要な支援やリスクマネージメントを勘案したケアプラン作成・サービス提供につなげる役割を担っています。これは医療・看護・介護・福祉の多職種が揃っている老健ならではの機能です。
また、入所後に複数の医療機関で処方されていた服薬の見直し(polypharmacy対応)も行っていますが、在宅復帰時どのような服薬を継続するべきなのか、どのタイミングで受診すべきか、かかりつけ医療機関の皆様方との連携が不可欠です。
適切な継続性のある医療サービス提供を行えるためのご協力をいただければ幸甚です。

さて、老健の在宅サービス機能である訪問リハビリと短期入所に関してですが、前者は在宅での状況把握をすることで、より適切なリハビリ以外のサービス提供につながることがあります。
短期入所は在宅介護者のレスパイト目的だけではなく、入院するほどでもない軽度の脱水症や食欲不振に対する点滴治療を「緊急短期入所」で行うことが出来ます。
早目の対応を行うことで、入院のような重症化対応を防ぐ効果が期待できます。
空きベッド状況や医療提供レベルにより、全ての老健で緊急短期入所による医療対応ができるとは限りませんが、是非ご活用していただければ有難いです。

群馬県老人保健施設協会
副理事長 水間春夫


群馬県老人保健施設協会における多職種連携に向けた取り組み

コロナ禍の出口がなかなか見えない毎日ですが、皆様におかれましてはますますご清祥のこととお慶び申し上げます。

介護老人保健施設(以下老健)とは、急性期を含めた病院からの高齢者を受け入れ、介護・リハビリを通して在宅へ復帰していただき、その後も在宅ケア・リハビリを行って、地域で生活していただけるように支援する施設です。
また、穏やかに最期の時を迎えていただく終末期における看取り対応にも取り組んでいます。
しかしながら独居、老々介護や認々介護(夫婦ともに認知症が進んでいる状態など)が増加していることや、同居家族に介護させてしまうことへの気兼ねにより、本来その方が望む暮らしを正しく伝えられていない場面も少なからず見受けられます。
また、こうなっていただきたい、という目標がたっても、その実現に至る「How」が見いだせないこともあります。
そのような場面でも、多職種による視点を受けることで「見立て」と「対応」をこまめに、かつ迅速に出来ることもあります。
老健では施設相談員やケアマネージャーが主な窓口となり、医療・介護関係者の皆様がたとの情報共有に努めております。

さて、老健の抱える大きな問題点のひとつに医療費施設負担があります。
新規経口抗凝固薬や新規抗てんかん薬といった高価薬剤処方が大変厳しい状況です。
人工呼吸器使用や夜間の吸痰など、医療度が高い状態では対応が難しいこともあります。
入所に際しては医療関係の皆様と密接に連絡を行い、スムーズな医療の継続を図っています。
また、認知症の進行や譫妄などによる転倒リスクの増大、自傷他害が生じることもあります。
まず第一に受容と共感で傾聴に努め、ユマニチュードやバリデーションなどの接遇を行うことで、過剰な薬剤鎮静や行動制限にならないよう取り組んでいます。
それと共に、その方に関わる多職種の皆様と見解や対応を共有していくことで、自身の職種に囚われず、偏らず、拘らない、より適切なケア・治療を目指しています。
今後もその人のあるべき状態(ハビリス)を回復させる(Re)ため、医療・介護・行政など様々な社会資源や、家族・近隣など、生活に関わる全ての関係者と密接な連携を図ることが望まれます。
その一環として、老健と多職種の方々との意見交換会を行っています。
今まで急性期・回復期病院の関係者や医療ソーシャルワーカー・精神保健福祉士、居宅介護支援専門員スタッフの皆様、有料老人ホーム・サービス付き高齢者住宅の関係者、行政の方々などに対して、老健に対するご意見、ご要望に関するアンケートを行いました。
その結果を元に意見交換会を開催し、顔の見える連携を図る企画をして参りました。
このような取り組みも含め、関係各位との連携をこまめに行い、地域に頼られる地域包括ケアシステムの拠点(ハブ)となるべく取り組んで参りたいと思います。

群馬県老人保健施設協会
副理事長 水間春夫
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